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スポーツ心臓とは?【メリット、デメリット】のご紹介|高血圧、突然死との関わりはある?

2018.04.03

スポーツ心臓、と聞いて言葉自体は良い響きに聞こえるかもしれませんが、実際の所どういう意味なのかは分からないと思います。

今回はスポーツ心臓のメリットやデメリット、スポーツ心臓になるためには、また、高血圧や突然死との関わりなどについてパーソナルトレーナーの北村智哉さんにご紹介頂きます。

スポーツ心臓とは?

皆さんは、スポーツ心臓という言葉を聞いたことはありますか?

スポーツ競技を行っている選手の方は聞いたことがあるかと思いますし、日頃から積極的にスポーツに取り組まれている方もご存知かもしれません。

スポーツ心臓は身体にとって良いこと?悪いこと?どんな人がなるの?といったことをお伝えします。

  1. スポーツ心臓の定義
  2. スポーツ心臓による機能的な変化

① スポーツ心臓の定義

はじめに、スポーツ心臓の定義について、以下をご覧ください。

スポーツ心臓(あるいはスポーツ心臓症候群)とは、スポーツ選手に見られる心拡大と、それによる安静時心拍数の低下といった一過性変化を指す。いずれも日常の運動が少ない人では心疾患とみなされるが、スポーツ選手では強度の運動に耐えるための適応と見られ、取り立てて治療は必要ない。

By:Wikipedia

このようになっています。

通称「アスリート心臓」とも呼ばれ、強い心臓という意味で使われます。
(医学的に”スポーツ心臓”という定義はありません)

具体的には、マラソンやクロスカントリー、柔道、ラグビーなど、長時間心拍数を上げたままで競技を行うことで、心臓が肥大したような状態になります。

心臓自体も筋肉でつくられている為、イメージとしてはトレーニングに適応して鍛えられたというような意味合いですね。

② スポーツ心臓による機能的な変化

では、心臓が大きくなると機能的に何が変わるかというと、心拍数の低下という変化です。

スポーツ心臓の判断方法

主にスポーツ心臓を判断する場合心拍数で見る場合が多いです。

一般では通常心拍数は1分間に平均70拍を脈打ちますが、スポーツ心臓の状態では50拍を切ります。

これで何が起きるかについてご説明します。

スポーツ心臓による体の変化

心臓は血液を送る役割が主になります。

例えばランニングなどを行うと息が上がりますが、その時はそれに応じて心拍数も上がります。

これはもっと沢山の酸素を全身に届ける必要があるということで、心臓がドクンドクンといつもより多く脈を打って血液を循環させようとします。

しかし、筋肉が鍛えられた心臓では一回で送る血液の量が多くなります。

これは「心拍出量」と呼ばれますが、スポーツ心臓ではこの一回に送られる血液の量が多くなる為、以前より少ない数(脈)で全身に血液を届ける・送ることが出来るようになるのです。

イメージとしては、ポンプで水を掬い上げる時の一回の力が大きく(強く)なって、水を大量に掬えるようになった状態です。

これがスポーツ心臓と呼ばれる状態です。

スポーツ心臓のメリットとは?

スポーツ心臓は、スポーツ選手にとっては非常にメリットがあります。

ここではその代表的なものをご紹介いたします。

心肺機能の上昇

心拍数

上記でお伝えしたように、心拍出量が増えたことで心拍数が下がった為、息が上がりにくいのです。

分かりやすく言うとスタミナが強い選手ということになります。

これにより、ハイパフォーマンスを長期間発揮することが出来ます。これはスポーツ心臓最大のメリットになります!

スポーツ心臓のデメリットとは?

メリットもありますが、一方でデメリットもあります。

それは血圧です。

  1. 普段から血圧が低い状態が続く
  2. 別の病気を患っているケースもある

① 普段から血圧が低い状態が続く

スポーツ心臓の人は、安静にしている時も心拍数は非常に少ない為血圧もやや低い傾向にあります。
(自律神経の中の副交感神経も関係します)

そこで激しいスポーツ競技を行うと、その後急激に血圧が上がることがあります。

血圧の急激な変化は身体にとって非常にストレスです。

他にもスポーツ心臓は突然死に繋がるという考えや事例もあります。
(スポーツ心臓と突然死については他項で詳しくご説明します)

② 別の病気を患っているケースもある

スポーツ心臓のデメリットとは直接的な関係はありませんが、スポーツ心臓だと思っていたら実は心疾患だったというケースもあります。

それは「心肥大」という疾患で、文字通り心臓が大きくなってしまった状態です。

心肥大

※下記画像の左側が通常時で、右側が心肥大の状態です。

心肥大とは?

これはスポーツ心臓と似ている症状ですが、基本的にスポーツ心臓は激しいトレーニングや競技習慣が終わると(現役の引退など)、心臓に負荷が掛かることもなくなるため心臓の大きさが元に戻ります。

しかし、心肥大は常に心臓が大きくなってしまった疾患です。

心疾患の原因とは?

心肥大の主な原因は高血圧です。

実はこれ、食生活などの生活習慣が原因にもなりますが、スポーツが原因となることもあるのです。

スポーツは基本的に力む、息を一瞬止める、瞬発的に力を爆発させるなどの特徴があります。

この時血圧は急上昇します。

これにより、心臓がストレスを受けてしまい、心肥大することがあります。
(ここがスポーツ心臓と混在しやすい部分です)

心肥大はそれだけで突然死にもつながる恐ろしい疾患です。

このすみ分けは非常に大切ですし、もし心肥大の場合は適切な治療を受ける必要があります。

スポーツ心臓の作り方とは?

スポーツ心臓のメリットを得てスポーツ心臓を作りたい!という場合、どのような方法が良いのでしょうか。

  1. 長時間心拍数を上げる
  2. 有酸素運動に無酸素運動の要素を盛り込む
  3. スポーツ心臓を作る運動の例
  4. 新しい運動習慣による軽いスポーツ心臓の生成
  5. 軽いスポーツ心臓のメリットとデメリット

① 長時間心拍数を上げる

ランニング

まず基本的な概念として、長時間心拍数を上げるということは条件となります。

普段が60拍なら、120~130拍の状態をキープするようなイメージです。

具体的には、ランニングなどの有酸素運動で、常に息が上がったような状態です。

② 有酸素運動に無酸素運動の要素を盛り込む

しかし、これだけでは不十分です。

冒頭でもお伝えしたように、スポーツ心臓になる競技には柔道やラグビーがあります。

これらの特徴として、長時間息を上げているということに加え(柔道は試合中ずっと有酸素状態です)、一時的に力を爆発的に発揮するということがあります。

これを無酸素運動と言います。身近な例ですと筋トレがまさにその状態です。

有酸素、無酸素運動に関してはダイエットに効果的な運動とは?有酸素、無酸素運動を組み合わせたメニューもご紹介をご確認ください。

③ スポーツ心臓を作る運動の例

スポーツ心臓を作るスポーツをご説明いたします。

柔道やラグビーは、自分だけではなく相手直接のコンタクトでコントロールする競技でもあります。

投げる、タックルする、抑える、これらにはかなりの力が必要です。

私も学生時代はずっと柔道をやっていましたが、それはもう本当にしんどいものでものした。

また、マラソンやクロスカントリーも同じです。

以下でもう少し具体的にご説明いたします。

1.柔道

柔道

柔道は4~5分の競技で、間の待ての時間を入れてもトータル試合時間は10分いくかいかないかの競技ですが、あの時間の間はプールで泳いだ後やダッシュした後よりもしんどいです。

それは、ずっと動き続けている上に何度も力む瞬間があるからです。

2.ラグビー

ラグビー

ラグビーも基本的には相手にタックルすることが多いです。

その瞬間、タックルする方もされる方も、一瞬息を止めて全身の力をこめます。

また何人もの選手が自分の上に乗ってくることもあります。

このように、単に一定的に心拍数を上げるだけではなく、時に爆発的な負荷が掛かることで、スポーツ心臓は作られるのです。

3.マラソン

マラソン

マラソンは大会などを見ると常に一定のリズムで走っているように見えますが、42.195kmの距離を常にハイパフォーマンスで走り続け、時に駆け引きで速度を上げたりする為に、選手は日頃かなり過酷な練習を積んでいます。

坂道をダッシュで駆け上がる練習や、高地トレーニングと言って酸素の薄い土地でランニングをするなど、かなり心臓に爆発的な負荷を掛ける練習もマラソン選手はしています。

4.クロスカントリー

クロスカントリー

クロスカントリーも見ての通りで、コース中坂道を全身の力で駆け上がったり、その後すぐ体勢を低くして速く滑り降りたりと、非常に強弱があります。

このように、スポーツ心臓は平均的に心拍数を上げつつ、更に一瞬の力みによる負荷を加えることもポイントになります。

これを見ていただけると分かる通り、スポーツ心臓を作る為には並大抵のトレーニングでは十分ではありません。

私自身、現役の時は心拍数が53~55拍でしたが、これでもスポーツ心臓ではありません。

あれ以上の練習を再びと言われたら…全力で拒否します(笑)

しかし、ここまで求めなくても、スポーツを継続することで平均的にやや心拍数が下がる傾向も、スポーツ心臓と呼べると私は考えています。

④ 新しい運動習慣による軽いスポーツ心臓の生成

上記は極端な例であって、要するに心拍数が少し下がった状態はスポーツ心臓と同じです。

私の経験上の話になりますが、引退後ダイエットを目的にジョギングを始めました。

現役中は一番嫌いな練習だったのですが、一旦コツをつかむと楽しくなってきて、ジョギングはだんだんマラソンになり、20kmは同じ速度もしくは後半に上げられるようにまでなっていました。

実はこの時の心拍数は、柔道の現役時代に匹敵する程の少ない拍数になっていたのです。

私は何も極端なダッシュ練習や高地トレーニングをしたわけではありません。

週3~4日、5km程のランニングを継続し、だんだん距離を伸ばしたことで、心臓がそれに慣れよう、耐えようと強くなり鍛えられたのです。

このように、プロスポーツ選手でない限り、新しく運動習慣を取り入れることで軽いスポーツ心臓をつくることは可能です。

詳しいジョギング方法に関してはジョギングダイエットとは?効果、正しいやり方や注意事項をご紹介をご確認ください。

⑤ 軽いスポーツ心臓のメリットとデメリット

この軽いスポーツ心臓は非常に健康的です。

軽いスポーツ心臓のメリット

メリットとしては、血圧を下げることができ、血管への負担は減ります。

更に毛細血管の数が増えることで、酸素と栄養が全身に行き渡りやすくなり、疲労は抜けやすく代謝は上がり、肌もピチピチになっていきます。

軽いスポーツ心臓のデメリット

軽いスポーツ心臓の状態になる為には最低でも3か月以上の継続は必要です。

一気に追い込もうとするのではなく、今の生活習慣の中でちょっと頑張れば出来る程度の有酸素運動習慣を取り入れてみましょう。

スポーツ心臓は高血圧の原因になりうる?

  1. スポーツ心臓と高血圧の関係性
  2. スポーツ心臓が原因で高血圧になるのか

① スポーツ心臓と高血圧の関係性

次にスポーツ心臓と高血圧についてです。

スポーツ心臓が高血圧の原因になるかというと、その可能性がゼロではないとしても、限りなく低いです。

上記でも説明したように、スポーツ心臓を持っている人は安静時から血圧は低い傾向にあります。

そこで激しいスポーツを行うことで、急激に血圧が上がってしまうことがあります。

しかし、これは一過性のものであり、いわゆる血圧がずっと高い状態の高血圧ではありません。

しかし、それでも血圧がずっと高い状態だとしたら、それはスポーツ心臓よりも上記でお伝えした心肥大を疑いましょう。

② スポーツ心臓が原因で高血圧になるのか

スポーツ心臓は基本的に安静時では血圧は低くなります。

それでも逆に高いという場合は、他の要素や疾患が隠れている可能性が高いです。

スポーツをすることで血圧が下がる、もしくは高血圧の人に軽い有酸素運動が効果的ということは有名です。

これはスポーツをすることで心臓の心拍出量が増え、血圧が下がるということを意味しています。

そのため基本的にスポーツ心臓が原因で高血圧ということは考えられにくいです。

スポーツ心臓で突然死はありうる?

最後にスポーツ心臓と突然死についてご説明いたします。

これは世界でも報告のある症例です。

  1. 突然死とは?
  2. スポーツ心臓と突然死の関係性

① 突然死とは?

突然死について、WHO(世界保健機構)では、以下のように唱えられています。

突然死は、一般的に急性心不全、急性心停止または特別な外因が見当たらない頭蓋内出血等が直接死因とされた病死である。

これはスポーツに限ったことではなく大きな枠組みでの突然死ですが、国内でもスポーツ中の突然死は多く症例があります。

特に中高生での死亡事故が多く、その場で適切な処置をしたにも関わらず死亡に至ってしまうケースというのは、悲しいことに毎年報告されています。

② スポーツ心臓と突然死の関係性

スポーツ心臓と突然死の直接的な関係や原因について、これについては必ずしもそうとは言い切れないのです。

なぜなら、スポーツ中の突然死について、そのほとんどが原因不明とされているためです。

その多くは「いつもと変わらない様子だった」というもので、時に「異常な程ハイテンションだった」という心拍数が高かった状態・交感神経が高ぶっていた状態が伺える症例もありますが、それはほんの一部です。

スポーツ中の突然死の関係性

AEDを使う心房細動も原因不明のことが多いですが、スポーツ中に多く起こることも分かっています。

ここにはやはり心臓に負担が掛かっているということは考えられます。

そういった意味では、スポーツ心臓はそれ自体で通常の心臓とは違う状態になっていますので、可能性としてはあるかもしれませんが、直接的にスポーツ心臓が突然死のリスクになるというところまでは言われていません。

体に見合わない運動強度で運動した場合

スポーツ中の突然死に至ったケースでは、ウォーミングアップやクールダウン不足、気候、身体に見合っていない運動強度などが関係しているという報告は多く存在します。

こちらの方がリスクとしては高いです。

ただ、これはスポーツを張り切って始める初心者の方にとても多いのです。

まとめ

スポーツ心臓のメリットやデメリット、高血圧や突然死との関係性に関してパーソナルトレーナーの北村智哉さんにご紹介頂きました。

上記でもお伝えしたように、軽いスポーツ心臓を作る上でもある程度の期間や強度は必要です。

それを急に行うことは、心臓や身体に強い負担になってしまいますので、注意しましょう。

過ぎたるは猶及ばざるが如し。

スポーツをすることでメリットもありますが、心臓や身体に負担を掛けるというデメリットも事実です。

まずは無理のないウォーキングや早歩きなどからはじめて、徐々に心拍数を上げながら心臓を鍛え、健康的なスポーツ心臓を作りましょう!

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