トレーニング

初動負荷トレーニングとは?効果、やり方、マシンのご紹介|回数、セット数、注意事項も

2018.04.22
初動負荷トレーニング

初動負荷トレーニングってなんだろう?と疑問に思った方は多いのではないでしょうか。

今回は初動負荷トレーニングについてパーソナルトレーナーの木村泰久さんに詳しくご紹介頂きます。

また、詳しいやり方や回数・セット数、注意事項もご紹介しますので是非参考にしてください。

初動負荷トレーニングとは?

初動負荷トレーニングという言葉を聞いたことがありますか?

トレーニングに精通したトレーニーの人であれば聞いたことがあるかもしれませんが、そこまで浸透しているトレーニング方法ではなく、また特別な器具を使うケースが多い為、あまり体感されたことがない方がほとんどではないでしょうか。

しかし、”あのイチローがしているトレーニング”と言えば、反応される方もいらっしゃるのではないでしょうか(笑)

実は、最近イチローがCMでトレーニングをしている風景が流れていましたが、あれがまさに初動負荷トレーニングの風景なのです。

以下で詳しくご紹介していきます。

  1. 初動負荷トレーニングの定義
  2. 反射が起こるポイント
  3. 弛緩→伸張→短縮の具体例
  4. ジャンプを行う時のメカニズム
  5. 高いパフォーマンスを発揮するための条件
  6. 動きを生み出すメカニズム
  7. 筋肉の緊張状態とは
  8. 初動の重要性

① 初動負荷トレーニングの定義

では、初動負荷トレーニングとは何でしょうか?

初動負荷トレーニングを考案された小山裕史先生によって、以下のように定義されています。

反射の起こるポジションへの身体変化及び、それに伴う重心位置変化等を利用し、主導筋の「弛緩(しかん)-伸張(しんちょう)-短縮」の一連動作を促進させると共に、その拮抗筋ならびに拮抗的に作用する筋の共縮を防ぎながら行う運動

引用元:こちら

これだけ見ても、意味が分かりませんよね(笑)

次項以降で細かく説明していきますね。

② 反射が起こるポイント

はじめに、反射の起こるポイントという部分ですが、私達の身体は反射という反応が非常に重要です。

皆さんにも経験があるかと思いますが、授業中や電車に乗っている時などに、ついウトウトしてしまって、ハッと身体が起こることがありませんか?

電車 睡眠

あれは姿勢反射と言って「これ以上その方向にいくと倒れる!」と身体のセンサーが反射して、反対側に働きかけているのです。

この時無意識で起こっています。それが反射です。

その反射が起こるタイミングというのは、非常に重要です。

競技などであれば、この反射反応が遅れることで「ここ!」というタイミングがずれてしまいます。

また、筋トレをしている時でも、筋肉が「これ以上伸ばされると危険!」という状態であると脳が判断すると、反射的に伸ばされないように反射が働きます。
(外力で急激に伸ばされた・また非常に強い外力の場合は追い付かない・負けてしまいます)

このように、反射は欠かすことのできない機能で且つ本質的な働きなのです。

この本質的いな働きの際に、筋肉は「弛緩→伸張→短縮」という反応を起こします。

これが筋肉の正しい反射なのです。

③ 弛緩→伸張→短縮の具体例

弛緩→伸張→短縮というのは、筋肉が”ゆるむ→伸びる→短くなる”という流れです。

具体的にジャンプで体感してみましょう。

ジャンプスクワット

もし可能であれば、その場で一度立っていただき、何も考えず思いっきり高くジャンプしてみてください。

いかがですか?飛べましたか?

では、次は少し条件をつけます。”膝を曲げずに”高くジャンプしてみてください。

いかがですか?飛べましたか?

後者に関しては、まったく飛べなかったと思います。

逆に、高く飛ぼうとすると、無意識に「膝を深く曲げる」か「瞬発力で爆発的に膝を伸ばした」かと思います。

実はこれが筋肉の反射、もしくは弛緩→伸張→短縮の流れなのです。

④ ジャンプを行う時のメカニズム

ジャンプをする際、主に使われる筋肉は大腿四頭筋(だいたいしとうきん)という太ももの筋肉とお尻の大殿筋(だいでんきん)という2つの筋肉です。

高くジャンプする際に無意識に膝を曲げているのは、この2つの筋肉を伸ばしているのです。

逆に、膝をピンと伸ばした状態では、この2つの筋肉は短くなってしまっています。

筋肉は短くなることで力を発揮するのですが、既に短い状態だとこれが出来ませんよね。

⑤ 高いパフォーマンスを発揮するための条件

では、またジャンプの実験に戻ります。次は連続で5回飛んでみてください。

この時、あなたは何をしましたか?もしくは、膝をどうしましたか?

恐らく膝の曲げ伸ばしを5回繰り返したと思います。しかもリズミカルに。

どういうことかと言うと、弛緩→伸張→短縮というサイクルを5回繰り返したのです。

つまり”しゃがむ→飛ぶ”というのが”弛緩→伸張→短縮”となり、これを繰り返すことでジャンプというパフォーマンスを連続して行えたことになります。

ここで鋭い方は「これって伸びた後に短くなっているから、伸張→短縮だけじゃないの?」と思われるかもしれません。

確かに目にうつる、もしくは体感する中ではこの2つなのですが、実はこれが筋肉の細胞レベルで見ると、無意識に必ず弛緩しているのです。

イメージとしては、短縮した筋肉を一度リセットしていると考えてください。

リセットできなければ、次の動きには移行出来ません。それが”短縮→弛緩”となるのです。
(弛緩→伸張→短縮→弛緩→伸張…というサイクルですね)

つまり、高いパフォーマンスを発揮する為には、この弛緩→伸張→短縮のサイクルが円滑且つスムーズに発揮されることが条件に挙げられるのです。

⑥ 動きを生み出すメカニズム

しかし、ここで動きにブレーキをかけてしまう機構があります。

それが”拮抗筋(きっこうきん)”です。拮抗筋とは拮抗するという意味です。

何に拮抗するかと言うと、メインに働く・もしくは反対に働く”主導筋(しゅどうきん)”に拮抗する表裏一体の関係にあるのです。

実は筋肉には短くなるという働きしか出来ません。

「え?肘を曲げた後伸ばせるよ?」と思われたかもしれませんが、ここでは切り替えしが起きています。

どういうことかと言うと、肘を曲げるのは力こぶの上腕二頭筋の働きです。

しかし、ここから伸ばすのは上腕二頭筋ではありません。

”肘を伸ばす”という動作は上腕二頭筋をメインに考えやすいですが、実は裏側の筋肉・二の腕である上腕三頭筋が短くなっているということにもなります。

これが筋肉で言う短くなることしかできないという働きなのです。

この肘を曲げるという動作で見ると、上腕二頭筋が主導筋で上腕三頭筋は拮抗筋。

逆に肘を伸ばすという動作では、上腕三頭筋が主導筋で上腕二頭筋が拮抗筋となります。

これは全身で起こり、それにより私たちは動きを生み出すことが出来ます。

主導筋だけで動けるようなイメージがあるかもしれませんが、反対側である拮抗のブレーキが働かなければスムーズな動きは再現できないのです。

しかし、これが過剰に働き過ぎているケースも多くあります。

イメージとしては、ハンドブレーキを引いたままアクセルを踏んで運転するような状態です。

これは、かなり車体にダメージになるはずです。

⑦ 筋肉の緊張状態とは

身体の面で言うと、筋肉が緊張状態にある方では多いです。

具体的には、トレーニングで筋肉を酷使している方やずっと同じ姿勢で特定の筋肉を常に短くしてしまっている方などです。

この状態では拮抗筋が過剰に働いてしまい、スムーズな筋肉の動きを邪魔してしまうのです。
(加えてそこを動かすという神経の働きが機能不全している状態でもあります)

これが、初動負荷トレーニングでは身体の本質的な反射を呼び起こし、筋肉の弛緩→伸張→短縮の動きをスムーズに行い、その際起こる拮抗筋のブレーキを限りなく抑制するのです。

⑧ 初動の重要性

初動負荷トレーニングにおいては、動きのはじめである初動で動きを緩めるか、ということが重要なのです。

なぜ初動が良いかというと、そのタイミングが最も神経反射がスムーズに起こるからです。

そこに合わせて、本来の機能で動きを取り入れトレーニングし、しなやかなで無駄のない動きつくる

これが初動負荷トレーニングとなります。

あくまで初動に負荷を掛けるのではなく、正しい反射を呼び起こすトレーニングと言えます。

専門的なこともあり少し難しい部分かもしれませんが、ここをご理解いただくことはとても重要なので、もし分からなければ何度も読み返す、もしくは体感してみてくださいね!

力を抜いて、柔らかくジャンプを繰り返すと身体が非常に軽くなります。

それが初動負荷トレーニングの理論と同じです。
(もしくは、膝を伸ばしたまま・思いっきり力んだまま高くジャンプしようとすると体感できます笑)

初動負荷トレーニングの効果とは?

  1. 動きやパフォーマンスの向上
  2. 様々な病気にも有意な効果

① 動きやパフォーマンスの向上

運動

初動負荷の効果は、何よりも”動き”や”パフォーマンス”に表れます。考案者の小山先生はこのように効果を説かれています。

柔軟性と強さ・しなやかな動きの獲得・スピード・加速度の向上

引用元:こちら

非常にスポーツと相性がよさそうですね。

イチローが約20年にも渡って取り組みつづけている理由も頷けますね。

② 様々な病気にも有意な効果

初動負荷トレーニングは、実は病院やクリニックにも取り入れられています。

理由は脳疾患後遺症、骨や靭帯損傷、呼吸循環器系罹患者などでも初動負荷トレーニングを実践した結果、好意的な結果が得られたからです。

これは初動負荷トレーニングが血圧や筋肉に過剰な負荷を掛けず繰り返す運動である為、血流促進・神経の発達・関節や筋肉の無理のない運動が行えたからであると考えられます。

初動負荷トレーニングはどんな人におすすめか?

スポーツ選手や筋肉、骨格系の痛みをお持ちの方

前項の理由から、スポーツ選手をはじめ、内科的疾患や筋・骨格系の痛みや不具合などで悩まれている方にも非常におすすめです。

現に初動負荷トレーニングをメインとして扱われているジム”ワールドウィングギオン”では、スポーツだけではなく生活習慣病の改善・ケガ障害の回復・シェイプアップ目的の方も対象として展開されています。

初動負荷トレーニングのやり方とは?

  1. 初動負荷トレーニングの動きの理解
  2. ダンベルを用いた場合
  3. プッシュアップ(腕立て伏せ)の場合
  4. ピラティスマシンを用いた場合

① 初動負荷トレーニングの動きの理解

初動負荷の実践には、基本的に専用のマシンが必要となります。

専用のマシンも通常のジムにあるようなマシンに形状は似ています。

例えばレッグプレスショルダープレスなど、似てはいますが実際に行う用途は大きく異なります。

初動負荷マシンの特徴

通常のマシンは、高重量などを持ち上げ筋肉に刺激を入れることが目的ですが、初動負荷マシンは非常に軽く、マシンに動きを誘導されているような動作となります。

さらに、ここにひねりなどの複合的な動きが入ります。

例えば膝を伸ばすレッグプレスも、伸ばしながら少し股関節にひねりを入れるような動きを取り入れます。

これは筋肉ではなく神経にフォーカスしていることから、このような動きとなります。

その為マシン自体がそのような構造になっている為、通常の運動で初動負荷トレーニングを行うことは難しいと考えられます。

② ダンベルを用いた場合

ダンベル

しかし、理論を取り入れれば特別なマシンがなくてもある程度行うことは可能です。

具体的には、非常に軽いウェイト(ダンベルなど)を利用します。

例えば、ダンベルを両手に持ちバンザイを行います。

これが重たい重量であれば三角筋などのトレーニングになりますが、1~2kg程のかなり軽いダンベルを持ち行います。

さらに、真っすぐ挙げるだけではなく、手を螺旋(らせん)状にして回すように行います。

さらに、肘と肩を曲げて伸ばす瞬間(つまり弛緩→伸張→短縮ですね)に少しだけ速度を上げリズミカルに行います。

イメージとしては、少し反動をつけるようなイメージです。

ダンベルのオススメはダンベルのおすすめ11選!正しい使用方法やオススメ商品をご紹介!をご確認ください。

③ プッシュアップ(腕立て伏せ)の場合

膝つきプッシュアップ

他にも、プッシュアップ動作でも両ひざをついた状態で負荷を軽くして、肘と肩を伸ばす瞬間に少しだけ速度を上げリズミカルに行います。

ここでも反動をイメージします。

しかし、あくまで柔らかく動かします

ポイント

このエクササイズのポイントは一瞬速度を上げる、つまり反動の瞬間が、初動の負荷となります。

この理論を取り入れれば、どのようなエクササイズでも応用は可能です。

ただし、負荷はかなり軽くする必要があります。

もし、両膝をつかない一般的なプッシュアップの場合、自重がかかった上体となるため弛緩→伸張→短縮の”弛緩”が起こりにくいのです。

プッシュアップの詳細は【監修済み】大胸筋を鍛えろ!プッシュアップとは?効果、やり方、種類をご紹介をご確認ください。

④ ピラティスマシンを用いた場合

ピラティスマシン

日頃私が日頃運営しているスタジオにはピラティスマシンがありますが、ピラティスマシンの負荷はバネの張力で調整します。

これも初動負荷に適しています。

動き始め、つまり初動のタイミングで緩めるようなイメージで(もしくはそれが出来るバネの張力に設定して)行うことで、初動負荷と同じ理論で行えます。

ただし、厳密にはやはり初動負荷マシンが最も適しています。

具体的には次項でお伝えしますが、初動負荷マシンはまさに初動の瞬間に負荷を一瞬与え、その後は動きを誘導するようになっています。

これはマシンの特性とも言えるため、きちんと行うのであれば専用のマシンが最適です。

ピラティスの詳細はヨガとピラティスの違いとは?今さら聞けない疑問を徹底解説!をご確認ください。

回数、セット数はどれくらいが良いか

  1. 具体的な回数やセット数の設定はなし
  2. 通常のトレーニングよりも回数は多め

① 具体的な回数やセット数の設定はなし

初動負荷トレーニングの回数とセットですが、これは一概に目安というものがありません。

なぜなら、その時その人の身体(関節や筋肉)の状態によって変わるからです。

短縮が非常に強い人や運動不足の人にとっては、ターゲットとなる関節や筋肉は血流や神経が発達していない状態です。そのような場合「〇回で〇セット」と統一することが出来ません。

② 通常のトレーニングよりも回数は多め

しかし、通常の運動に比べると全体的に回数はかなり多くなります

実際にイチローが取り組んでいる動画などをYouTubeで見ていただくと分かりますが、インタビューを受けながら軽い負荷で何度も何度も行っています。

ここからは憶測ですが、恐らくイチローはその時の身体のコンディショニングによって回数を変えています。

その時の判断基準が”関節や筋肉が軽くなったか?しなやかになったか?”と予測されます。

つまり、回数やセットはご自身の”身体が軽くなるところ”となります。

もちろん100回などは疲労になってしまいますので、まずは20~30回✕2セット程で様子を見てみましょう。

初動負荷トレーニングの注意事項

注意

初動の負荷だけにとらわれないようにする

初動負荷トレーニングを行う際、「初動時に強い負荷を掛ければ良いんだ!」と思われるかもしれませんが、これ実は大きな誤解です。

最初のところでもご説明しましたように、初動負荷トレーニングはいかに弛緩→伸張→短縮を起こすか、となります。

この弛緩を起こすポイントで強い負荷を掛けてしまうと、途端に動きや神経の働きは疎外されてしまいます。

初動負荷トレーニングを行う時のポイントは、いかに大きな動きを柔らかくしなやかに行えるかという部分になります。

そのため、力みや初動での強い負荷にはご注意ください。

初動負荷トレーニングのマシンとは?

最後に初動負荷トレーニングのマシンについてお伝えします。

  1. 初動負荷トレーニングのマシンはどこにあるのか?
  2. 初動負荷トレーニングマシンの特徴とは?
  3. 初動負荷トレーニングマシンの効果とは?

① 初動負荷トレーニングのマシンはどこにあるのか?

初動負荷トレーニングのマシンは、専用ジムやクリニックなどに設置されています。

最近では全国的にも広がっており、また一般の方でも取り入れやすいようになっていますので、一度ご自宅の近くでないかネットで調べてみてください。

きっとお近くにあるかと思います。
(私のいる岡山に至っては、何と私のスタジオから車で5分のところにありました笑)

② 初動負荷トレーニングマシンの特徴とは?

初動負荷トレーニングのマシンは本当に独特です。

YouTubeなどでその動きを見ていただけると一目瞭然ですが、本当に動きが軽く、また複合的な動作を繰り返しています。

※下記動画の7:40~の動きを参考にしてください。

ご覧のとおり、軽くしなやかな動きを誘導してくれるマシンで、かなり様々な方向に動きます。

筋肉の疲労はそこまで感じず、むしろ身体は軽くなりますが、翌日などにはきちんと筋肉痛が起こります。

なぜならば、日頃使っていない小さな筋肉や動作で、呼び起こされるからです。

③ 初動負荷トレーニングマシンの効果とは?

目で見て分かるものではありませんが、初動負荷トレーニングのマシンを使用することで神経が促進されます。

それによって、動きがかなり軽くしなやかになります。

マシンを使った後に肩を回す、もも挙げをするなどすると、その軽さに驚きます。

まとめ

スポーツ界では長く活用され、最近では一般の方でも徐々に取り組みが始まった初動負荷トレーニングについてパーソナルトレーナーの木村泰久さんに詳しくご紹介頂きました。

近所に環境がある方も、そうでない方も是非この機会に一度体感してみてください。

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